看護ケアは、患者の日常生活の妨げになっている病状をできるだけ緩和し、これまでの生活を取り戻してもらうための援助である。看護ケアには、病院内で快適に過ごすためのケアと家族との時間を楽しく過ごすためのケアがある。

患者にとって、病気になった際に最も日常を奪われるのが食事だ。病状が進むと、食欲を失ったり、治療の副作用で吐き気をもよおし、食べることさえできないこともある。
そんなときの看護ケアとして、食欲を少しでも取り戻してもらえるように、患者の好みにあった食事を用意したり、症状や状況に合わせた食事を工夫することが考えられる。また、辛いときほど家族の支えが重要であることから、家族と一緒に食事を楽しめるような工夫も提供することもある。

その他にも様々あるが、最も重要なことは、家庭的な温かい環境づくりである。
療養生活を続けていく中で、患者がこれまで過ごしてきた生活環境をできるだけ病院内でも再現し、患者にとって居心地のいい環境づくりに取り組むことが必要だ。そのため一環として、使い慣れた家具や衣類を病室に持ち込める施設もある。
また、物質面での充実を図ることと同時に、人間関係の構築も必要だ。看護師や医療スタッフと患者との間に望ましい関係を築くことが求められる。

看護ケアは、患者の症状や状況をいち早く把握し、これまで当たり前に送れてきた日常を取り戻す手伝いをすることである。患者が心地よい環境の中、家族とともに病気と向き合えるようにすることが、看護師の重要な役割だ。