看護師には守秘義務があるため、秘密厳守である。しかし中には、信頼のおける一人の看護師のみに治療に関わることを限定的に伝える患者も少なくない。
「あなただけに話すけど」と前置きされた上で話された内容でも、プライベートなことではなく,治療に関わることであれば、医師やソーシャルワーカーといった医療スタッフやチームにもその情報を伝える義務がある。
ただし、話された内容を吟味し、治療のために本当に必要なことは何かを考え、その情報をなぜ他の医療スタッフに話す必要があるのかを患者に伝えることが大切だ。
また、看護ケアを施す初期段階で、聞いた情報がチーム内で共有されることを患者にきちんと伝えておくことも大事である。

しかし、ただ単に治療に必要だからと伝えただけでは、患者は裏切られた、もう絶対に話さないという思いを抱く可能性も高い。それは、今後の看護ケアの提供、援助関係において効果的ではない。
限定的に話したことを何故他のスタッフには聞かれたくないのかに焦点をおいて話し合い、患者の気持ちを十分に理解することが大事だ。そのためには、勇気をもって自分だけに話してくれたことを大いに評価しながら、患者本人のためにはどうするべきかを話し合い、理解してもらう必要がある。
そして、できれば患者自身が主治医との診察の場において自分からその秘密を話せるようになるよう、看護師として援助していくことも非常に重要である。